10年かかる医薬品の研究開発プロセスを解説

 
医薬品の研究開発プロセス
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原崎 (HARASAKI)
1985年生まれで医学・薬学・性・Webの知識を高める為に日々勉強。
自分の経験・知識で、悩みのある人を元気に、安心を与えられればと、その気持ちを原動力に医学を学んだ結果、婚期を逃し今に至ります。

視力:0.1
好きな眼鏡の色:黒
口癖:ちくしょうっ・・・

医薬品の研究開発プロセス

1.基礎研究 (約2~3年)

新たな有効成分の探索

2.非臨床試験 (約3~5年)

培養細胞、モデル動物などを用いて、有効性・安全性・薬物の体内動態なについて検証

3.臨床試験 (約3~7年)

フェーズ1:健康な人を対象に有害作用が表れない最大投与量や薬物動態などについて検討

フェーズ2:少数の患者を対象とし、最適な用法・用量などを検討

フェーズ3:より多数の患者を対象とし、薬効・安全性についてさらなる検証

4.薬事承認審査 (約1~2年)

薬事承認申請と(独)医薬品医療機器総合機構(PMDA)による審査

長期にわたる医薬品の研究開発

医薬品の研究開発プロセスをさらに詳しく解説いたします。

基礎研究の詳細

基礎研究

基礎研究においては、医薬品の新たな有効成分となる化合物の探索が行われます。

基本的な探索方法においては、まず、医薬品の標的となる生体内分子を定めます。

がんの原因となっているタンパク質、高血圧の原因となっているタンパク質など、そうした生体内分子はすべて医薬品の標的となり得ます。

こうした標的分子は、自社内における基礎研究において発見されることもありますし、社外の研究者が発見したものを標的分子とすることもあります。

つぎに、そのような標的分子に結合し、その作用を調節できる化合物を探します。

このプロセスはスクリーニングといわれており、多数の候補化合物に対して、それらが実際に標的分子に結合するかを実験にて確認します。

そうした候補化合物は、動物、植物や微生物から抽出されたものであったり、化学合成により得られたものであったりします。

また、遺伝子組換え技術により製造されたタンパク質が候補化合物となることもありますし、DNAやRNAといった核酸が候補化合物となることもあります。

そして、スクリーニングにより、標的分子に結合しその作用を調節できる化合物が得られると、その化合物に類似した種々の化合物を合成し、より作用の強い化合物の探索が行われます。

探索の結果、医薬品として開発できる見込みがあると判断された化合物のみが、非臨床試験に進むことになります。

先発医薬品企業によって2009~2013年度の間に合成された728,512個の化合物の中で、非臨床試験にまで進んだのはわずか201個の化合物のみでした。

現在では、標的分子に結合する化合物をコンピューター上である程度予測できるようになりました。

また、高速で多数の化合物をスクリーニングする手法も確立しています。

さらに、バイオテクノロジーの目覚ましい発展により、抗体医薬や核酸医薬といった、標的特異性の高い医薬品の研究開発も進んでいます。

しかし、こうした優れた手法が開発されてもなお、基礎研究から非臨床試験に進むのは簡単なことではありません。

非臨床試験の詳細

非臨床試験

基礎研究においては、その分子構造などからみて毒性が強いことが明らかな化合物は候補化合物から除かれますが、候補化合物の安全性について詳細な検証が行われるわけではありません。

したがって、基礎研究において候補化合物として挙げられた化合物を対象にして、ただちに臨床試験を行うことには安全面で大きな問題があります。

そこで、臨床試験に先立って非臨床試験が行われます。

非臨床試験は、候補化合物について、臨床試験の実施の可否の判断と被験者の安全性を確保するための情報を得ることを目的として実施されます。

そのため、体外で培養した細胞、病態を反映したモデル動物などを用いて、有効性、安全性、薬物の体内動態などについて検証が行われます。

また、薬事承認申請を行う際には、安定性、薬理作用、毒性などに関して、非臨床試験の結果を提出することも求められるため、そのためのデータ収集も行われます。

非臨床試験により、ヒトに投与した場合の安全性などがある程度確認できた候補化合物は、臨床試験に移行することが可能となります。

2009~2013年度の間に合成され、非臨床試験に進んだ前述の201個の化合物のうち、68個の化合物のみが臨床試験の対象となりました。

臨床試験の詳細

臨床試験

基礎研究と非臨床試験において、医薬品としての有効性・安全性がある程度確認された医薬品は、臨床試験に進むことができます。

臨床試験においては、実際にヒトを対象とした試験が実施されます。

臨床試験は3つのフェーズに分かれており、フェーズ1では、健康な人を対象に候補化合物が投与され、有害作用が現れない最大投与量や薬物動態について検討が行われます。

フェーズ2においては、少数の患者を対象として、有効性と安全性のバランスにおいて、最適な用法・用量などが検討されます。

フェーズ3では、フェーズ2よりも多数の患者を対象とした試験が行われ、薬効・安全性について、さらなる検証が行われるのです。その際には、通常、プラセボ(偽薬)を用いた二重盲検比較試験が実施されます。

臨床試験において、医薬品として研究開発を続けることが困難となるような副作用や重大な問題が発生すると、臨床試験は中止されます。

その場合、副作用を軽減した候補化合物を探索するため、再び基礎研究や非臨床試験に戻ることもありますが、研究開発プロジェクト自体の継続を断念せざるをえない事態になることもあります。

薬事承認審査の詳細

医薬品医療機器総合機構(PMDA)

臨床試験を無事に終えることができた候補化合物は、薬事承認審査のプロセスに進みます。

医薬品企業は、非臨床試験、臨床試験などにより得られた結果に基づき申請資料を作成し、薬事承認申請を行います。

医薬品の承認権者は厚生労働大臣と定められていますが、審査の実質的な部分は、薬機法の規定に基づき、独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)に委任されています。

PMDAでは、申請資料に基づき有効性、安全性及び品質に関する審査が行われ、その結果が「審査報告書」として取りまとめられたうえで、厚生労働大臣に報告されます。

厚生労働大臣は「審査報告書」をもとに、厚生労働大臣の諮問機関である薬事・食品衛生審議会の意見を聴取したうえで、薬事承認を与えます。

2009~2013年度の間に合成された728,512個の化合物のうち、薬事承認が得られたのは、わずかに25個の化合物のみでした。

このように、新規な有効成分を含有する医薬品を上市するためには長期間にわたって研究開発を実施する必要があり、また、研究開発の途中で予期しない副作用の発生などにより開発を断念せざるをえない化合物も多く、最終的に薬事承認を得られる化合物はごくわずかです。

研究開発が断念された候補化合物に投じた費用を回収することは難しく、新規な有効成分を含有する医薬品の研究開発は非常にリスクの大きいものといえるのです。

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原崎 (HARASAKI)
1985年生まれで医学・薬学・性・Webの知識を高める為に日々勉強。
自分の経験・知識で、悩みのある人を元気に、安心を与えられればと、その気持ちを原動力に医学を学んだ結果、婚期を逃し今に至ります。

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